管理物件が豊富に取り揃えている不動産屋ブログ:15/01/09


当時の俺は、
とある都市の大きな企業に勤め、マンションで一人暮らし。

ごく稀にママが田舎から俺のもとを訪ねることがあった。
おいしいものを食べに行こうという俺に、
ママは親子水入らずで、のんびり部屋で過ごしたいと
わざわざ重たい野菜を抱えてやってくる…

ある日、仕事から帰った俺は、
オートロックのロビーから部屋いるママに
「ただいま。あけてー」
インターホン越しに呼びかけた。

ところが、ママからの返事はなく、
マンション中に非常ベルの音が響き渡った。
ママが部屋の開錠ボタンと非常ボタンを押し間違えたのだ。

ロビーで頭を抱える俺のもとへ、
青ざめたママがやってきた。
俺は恥ずかしさのあまりママをひどく責めた。

騒動の後、部屋には
ママが作った夕飯のにおいが立ち込めていた。

田舎から持ってきた野菜の和え物、
帰るタイミングにあわせて焼かれたであろう焼き魚、
細かく刻まれた葱の浮かんだ味噌汁に、揃えられた二人分の箸…

ショックの余り俯いて手をつけないママをよそに、
気まずい中、冷めた料理を俺は黙って食べた。

あれから俺も二児のママになり、
7〜8年たった今になって
あの出来事を頻繁に思い出すようになった。

恥ずかしいのはママではなく、
つまらない見栄で
かけがえの無い時間を台無しにした俺だった。

今さらと思いつつもママに言った。
「お母さん、あの時ごめんね」

意に反し、ママはその時の恐怖を、
近くにいたお兄さんと笑い話のネタにしてケラケラ笑っていた。
俺が責めたことなど忘れているようにみえた。

それでも、ママを思う時、
俺は真っ先にあの出来事を思い出す。

そして
「大したことないよ」
そう言えなかった自分を悔やみ続けると思う。
あの日の冷めてしまったママの手料理の味とともに…





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